ぜんそく(気管支喘息)
ぜんそく(気管支喘息)

気管支喘息は、気道の粘膜にアレルギー性の炎症が起こり、気道が狭くなる慢性的な呼吸器疾患です。
炎症によって粘膜がむくみ、空気の通り道が細くなるため、「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という音を伴う呼吸(喘鳴)や咳、息苦しさが現れます。症状がないときでも、気道には軽い炎症や狭窄が残っていることがあり、ほこり・たばこ・気温差・ストレスなどの刺激で悪化(増悪)することがあります。
日本ではおよそ1,000万人が喘息を持つとされ、発症しやすい年齢は幼児期と40〜60代の二峰性を示します。小児喘息は成長により改善するケースが多い一方、成人になってから発症する“成人喘息”も増加しており、特に中高年女性に多い傾向があります。

喘息の根本には「慢性的な気道炎症」があり、その結果として気道が過敏になります。わずかな刺激でも発作(現在では「増悪」と呼びます)を起こすようになります。原因は大きく「アレルギーによるもの」と「非アレルギー性のもの」に分かれます。
ダニ、ハウスダスト、動物の毛やフケ、カビ、花粉などが原因になります。特にダニは主要なアレルゲンで、寝具やカーペット、エアコン内部などに潜みやすいため、こまめな掃除と換気が大切です。ペットを飼っている場合は、シャンプーや掃除を頻繁に行い、毛やフケの付着を防ぐようにしましょう。
ストレス、気温差、風邪、排気ガス、運動などがきっかけとなることがあります。ウイルス感染も増悪因子のひとつで、風邪やインフルエンザが流行する季節は手洗い・マスク・ワクチン接種などで予防を心がけましょう。また、一部の解熱鎮痛薬(NSAIDs)は喘息を悪化させることがあるため、医療機関で薬を処方してもらう際は、喘息があることを必ず伝えてください。

発作は夜間や明け方に起きやすく、横になると咳が悪化しやすい傾向があります。季節の変わり目や気温差が大きい時期にも症状が強まることがあります。重度の発作では呼吸困難や顔色の変化(チアノーゼ)、意識障害を起こすこともあり、早急な対応が必要です。
喘息の診断には、アレルギーの有無や気道の状態を調べる検査を組み合わせます。
アレルギー反応の有無を確認します。特定の物質に対するIgE抗体が高値を示す場合、アレルゲンが関与している可能性があります。

呼吸機能検査(スパイロメトリー)
大きく息を吸い、勢いよく吐くことで肺活量や気道の通りやすさを測定します。喘息では1秒率(息を吐く速さ)が低下する傾向があります。

モストグラフ検査
自然な呼吸のまま、気道抵抗を測定できる検査です。息を強く吹く必要がないため、高齢の方やお子さんにも負担が少なく、気道の狭さを可視化できます。

呼気中一酸化窒素(FeNO)検査
息の中の一酸化窒素濃度を測定し、気道の炎症の程度を評価します。好酸球性炎症の指標となり、喘息の診断や治療効果の判定に有用です。
喘息と似た症状を示す他の呼吸器疾患(肺炎・肺気腫など)を除外するために行います。
治療の目標は「発作をなくすこと」、そして「健康な人と変わらない日常生活を送ること」です。夜間や早朝の咳を抑え、薬の副作用を最小限にしながら、安定した状態を維持することが大切です。
発作を予防する治療(長期管理)
症状がない時も気道炎症は残っているため、吸入ステロイド薬を中心に継続的な治療が必要です。気道を広げる薬(気管支拡張薬)を併用することもあります。また、アレルゲン除去・部屋の清掃・十分な睡眠・ストレス管理など、生活環境の改善も重要です。
発作時の治療
増悪時には短時間作用型気管支拡張薬(SABA)の吸入で気道を広げます。改善がみられない場合や呼吸困難が強いときは、迷わず医療機関を受診してください。
喘息は「治る」よりも「上手にコントロールする」ことが大切です。症状が落ち着いても自己判断で治療を中断せず、医師と相談しながら継続することで、再発や重症化を防ぐことができます。
気管支喘息は、気道に慢性的な炎症が起こることで「咳が続く」「息苦しい」「ヒューヒュー音がする」などの症状を引き起こす病気です。早期に適切な治療を行うことで、発作を防ぎ、健康な人と同じような生活を送ることができます。
方南町呼吸器内科せきとぜんそくのクリニックでは、喘息や長引く咳の診療を専門とする呼吸器内科専門医が、AI搭載レントゲン・呼気NO検査・モストグラフなどを用いて原因を丁寧に評価します。吸入ステロイドを中心とした最新治療と、生活習慣・環境改善の両面からサポートし、症状のない日常を目指します。
「咳が長く続く」「夜になると息苦しい」などの症状がある方は、方南町駅徒歩1分の呼吸器専門クリニックである当クリニックへお気軽にご相談ください。
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